夏の夜の怪談話 第二弾「骨董品店の工具箱」後編
2010-07-31 Sat 15:05
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後編でございます・・・

まあ、それぞれの感覚で読んで頂ければ・・☆




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瑛惇の天使像は、
出品された秋の秋嚶展覧会で好評を博した。


まるで、飛び立つばかりの天使の羽音すら、
静かな会場に響いて来る気がした・・。



「結城さん、素晴らしいじゃないですか」



「瑛惇君のイメージでは無いけど
改心の作といった感じで」



結城は鼻高々だったが、
浮かれがちな気持ちを押し殺しながら、
知人の賛辞を受けていた・・。


『秋嚶展ブロンズ賞』と書かれた、
鈍く光る金色のタッグが付けられている
それはこの展覧会では最高の賞だった。


・・そして結城氏は、
彼の作品をゆっくり見直してみた。



『ルネサンスの天使か・・
瑛惇の心変わりは何故かわからんが』



が。。


瑛惇の状態はそれからというもの、
一変して普通の彼ではなくなっていた。

一日中、アトリエにこもり、
精力的に作品を彫り出したのだ・・・。



とり憑かれたように彫刻を創り、
酷い時には三度の食事さえ食べていない・・。


創作の妨げになるからと、
雇い入れていなかった家政婦を付け
毎食を運ばせたが、
せいぜい水分やパンをかじる程度のようだ。



それどころか、
結城氏は夜中に
彼のアトリエでよからぬモノを見てしまった。



「ノミはこれ・・仕上げは・・」



はっきりと聞き取れる声が、
薄暗いアトリエにひそひそと・・・



「瑛惇?」



静かに振り替える彼の顔は、
まるで何事も
そこでは起きていないかのようだった・・。


・・


彫刻刀はこれの方だ

ペンのように握ればいい・・・」



毎晩だった、アトリエからの不穏な声や、
瑛惇だけではない人の気配が感じられたのは。



そして、結城は、瑛惇の右肩越しに
ほのかに蒼白く
光るモノを目の当たりにしてしまった。




『む・・こ、これは・・

本人には自覚が無いのか・・・』



心配だったので深夜のアトリエに足を運び、
それが何日か続いたのだが、
そのほの蒼白い光と共に、
聞こえる低い声は変わらなく目に映った。



ますますげっそりとやつれて行く彼を見て、
結城翁は堪り兼ねて
前に聞いていた、
工具を買ったというその骨董品店を探した・・。



・・が、

瑛惇が普通だった時に聞いていた場所には、
雑草におおわれた空き地が姿を見せただけで、
そんな店は見当たらなかったのだ・・。



結城は落胆した、
骨董品屋にいたという店主に聞けば、
あの古めかしい工具箱の所在が
明らかになると思っていたからだ・・。



・・こうしているうちに、
二人の身に決定的なことが起きてしまう。



見るに見かねて、
結城氏は、工具箱を供養のために
知人の寺へと「お焚き上げ」に出してしまったのだ。



「道具箱が無い・・」



瑛惇は通いの家政婦に詰め寄ったらしい。
その家政婦から結城に電話で連絡があった。


ただならぬ電話口の彼女の様子に、
すぐさま駆け付けた結城は・・


・・半狂乱になって・・・


「工具箱!ノミは?」



結城はアトリエ中を叫びながら、
そう、喚く瑛惇を目の当たりにした・・。



「シッカリしろ!」



ふらふらとその場に倒れた彼は、
掛かり付けの医師に『栄養失調』と診断され、
精神安定剤と共に点滴を受けた。



「よくこれで仕事をされていましたね」



「・・そんなに?」



「これで回復が遅かったら・・
入院されたほうが良いかもしれません」


・・


その次の日、心配で
アトリエにある瑛惇のベッド脇に居た結城氏は、
不思議な羽音でうたた寝から起こされた・・。




・・・バサバサバサ・・・・




結城氏が起きたとたん、
目の前には瑛惇を抱き上げた天使が、
その白い翼を広げていたのだった。



「あ、瑛・・・」



・・一瞬だった、
天使と共に彼の痩せた姿が消え去ったのは。



そして結城の足元には、
一枚の白い羽がくるくると舞い落ちて来た・・。


・・




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