
今年もまた、
怪談のお話を何話か書いていきたいと思います。
あの世なのか、
はたまた何処の人々の話なのか・・
皆さんの感性で読んで頂ければ。

「ハーブティ」
奏多(カナタ)は幼稚園に通っていた。
本当は近くの幼稚園の方が、
仲がいい近所のカノコちゃんもいたし、
遠い場所まで行かなくてもいいんじゃないか?
などと思っていたけれど・・
ママじゃなくパパのお母さん、
しゅうとめ さんが、
近くまで幼稚園のバスが来るからと、
ママの意見を聞かなかったから。
「ママはなんだかタイヘンだ」
奏多はでも、
ママのお母さんとの方が、
お話しをするのが楽しかった。
ママのお母さん、
つまりおばあちゃんは、
いつも奏多の家の、
お仏壇のある部屋の、
押入の中から出て来るけれど・・
「そんな所にお祖母ちゃんがいるはずないわ」
と言って、
ママは信じてくれなかったけれど。
奏多のお祖母ちゃんは、 昔、
離婚をしていて母子家庭だったために、
由香梨は最近までは、
母親とも一緒に暮らしていたのだが。
「・・おばあちゃん、いなくなっちゃった」
脳の病気だとかで、
おばあちゃんが死んでしまったけれど・・
それから不思議なことがあって、
悲しむ彼の前に、
ある日突然に祖母が現れたのだった。
小さな仏壇のある部屋の、
押入の中から出て来ては、
奏多と遊んでくれたりしていたのだ。
・・奏多はそれよりも、
最近、元気がないママのことが気になっていた。
どうも春に、
幼稚園の一つ上のクラスになり、
まひろちゃんという女の子と仲良くなったけれど。
まひろちゃんのママが、
奏多のお母さんを気に入っていなくて、
友達から弾いたり、
グループラインを組んでみても、
奏多の母親だけに冷たく当たっていたのだった。
「あなたもね・・
お母さんなんだからもっとしっかりしなくちゃ」
「はい・・・」
奏多の父方の祖母は、
叱責するだけでは無かったけれど、
ジェネレーションギャップがあり、
アドバイスも今時には感覚が古い。
母親が不甲斐ないと、
一人息子の大事な孫のためにもならないと感じ、
姑が趣味にもしていた、
自作のハーブティを差し出した。
「これ、カモミールと柚子の
カモミールは神経も落ち着くから」
ママは浮かない顔のままでお茶を口にしたけれど。
幼稚園での、
まひろのママ友の事を考えると、
明日の登園時の幼稚園バスで、
待つ場所へ行くのすらうんざりとした。
「子どもにバスに乗る席まで決めなくても」
まひろママの、
やたら順番を付けたがるやり方や、
ついでに奏多と自分とを、
ママ友カーストを作って
嫌がらせをするかのような態度には、
本当に辟易していたのだったが・・。
由香梨はでも実のところ、
まひろママが嫌がらせをするのは ー
奏多と一緒のピアノと絵画教室で、
自分の子よりも息子の方が優秀で、
幼稚園部門で絵が賞を受賞したり、
ピアノの発表会で選ばれたりするのが悔しくて、
その結果、
そんな下らない行為に及んでいるのが分かってはいた。
一つ、まひろと違う教室や、
習い事の場所を変えようとしたら、
息子は慣れた先生が気に入っていて、
変えたいと思う由香梨には、
今のところ どうする事も出来ないままになっていた。
・・
奏多は来週、ママやパパ、
お祖母ちゃん、お祖父ちゃんと、
朝霧山へピクニックに行く予定だ。
パパの車で行くけれど、
ちょっとママの元気がないことが気になっていた。
「ママ、行きたくないの?」
「あ、そうじゃないけど
ちょっと気分が良くなくてね
心配しなくていいのよ」
由香梨は子どもに、
要らぬ負担をかけているのも申し訳無いと感じていた。
が、それが更に、
彼女の気持ちを蝕んでいたのに気付か無かったのだ。
朝霧山へ行く前に、
奏多は押入から出て来る、
お祖母ちゃんにこんなことを言われた。
「奏多、お母さんを元気にしてあげたいかい?」
「うん、でもどうしたらいいの?」
「朝霧山へ行ったら、
おばあちゃんが言う草をつんできなさい
そうしたら、また
それでいいことを教えてあげるからね」
ピクニックの前に、
お祖母ちゃんと存在約束をしたのだったが。
・・
m(u_u)m ここでおねがいいたします☆



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