夏の夜の怪談話 「灯り」
2013-08-23 Fri 00:19
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麻知は最近・・
夢見が悪いことに、朝になって気付く。




それは、映画で見たような、
酷いうなされ方をして、
脂汗をかいてはっと目覚める
~ような訳では無かったが・・




・・いや、はっと目覚めるという部分では、
ある意味それに近いものがあった。





寝入ったのちにすぐに、

もしくは・・目覚める前、
何故だか見覚えがあるような光りが見えるのだ。




光りは、
はっきりとした閃光めく感じでは無く、
蛍光灯のような蒼白いイメージでも無く、


どちらかと言えば・・
薄ぼんやりした、
ゆらゆらとした灯りのようだった・・。




「これで何度目かしら?
嫌な感じはしないけど・・・」




それはあたかも-

クリスマスのキャンドルの色合いのような、
蒼白さが無いだけにオレンジ色により近く、
夢うつつの中で、
ゆらゆら、ゆらゆらと光りを放っているのだった。





最近、麻知は引っ越しをした・・



引っ越しはしたい訳でも無かったが、
四年越しで付き合っていた彼と、
あっけなく別れてしまったから・・・




以前は二部屋でリビングも付いていたのが、
移転してからは
少し広めではあったけど、
ワンケーに変わったこともあり、
別れた精神的なストレスと共に、
狭い間取りの閉塞感もあるのかもしれない。




別れた彼、一寛は、
四年も結婚を前提に暮らしていたのに、
最後は麻知とこれ以上長く居るのは無意味だと。




が。。


麻知はその「無意味さ」の裏にある
彼の秘密を実は知ってしまっていた・・。




・・あると言えばよくある話だ・・・



スマートフォンに変えた時、
一寛はそれにロックをし始めた・・



問いただしもせず、
放っておいていたけれど、
コールする音が鳴ると共に、
さっとモバイルを持ち去って、
違う部屋でこそこそと会話をしていた。




『結香だわ、きっとあの子・・』




麻知は半年くらい前に、
会社の飲み会の後-


たまたま帰りが一緒になった一寛に、
飲み会で帰り道が同じだった会社の後輩に、
仕方がなく彼を紹介してしまったのだ。




昨年、入社して来た会社の後輩、結香は、
社内でも際立った美しさで評判の子だ・・。



嫌な偶然を麻知は諦め、
はっとして、自分の顔ではなく、
彼女の方に吸い寄せられるかのように、
見入った彼の仕草を見逃さなかった・・。




『惨敗、何だかそんな気分・・』




麻知は昔は、
社内でもそこそこに綺麗だと言われ、
適度にモテてもいたけれど・・



あれから何年経つのだろう、
若さ故の傲慢な美しさは、
一寛という同棲する彼を得て、
安堵のイメージに変わって行ってしまった。




まかさよくある話のような出来事が、
四年後に自分の身に降りかかるなんて・・。




そんなある日、彼の体から、
その日に結香がつけて来た、
ディオールのタンドールプワゾンの
移り香がして来たのが、決定的な証拠となった。




あの日、後輩の結香は、
朝のロッカールームで、
これ見よがしに新しい香水を自慢していた。




「うふふ、これ彼に、
この前のバースデーに貰っちゃったんですぅ」




小さな紫色のアトマイザーに詰められた、
優しい毒・・めいた華やかでセクシーな香りは、
プワゾン程では無くても、
独特の匂いなのですぐに判る。


そこでも小悪魔めく
魅惑的な香りが充満していたから・・・




用意周到な彼女からの当て付け
・・だったのだと思った、半ば挑戦状だと。


自分の誕生日に、
彼女のモノにした一寛に、
判りやすい香水をプレゼントさせたのだ。




深夜、帰って来た彼からは、
挑戦状めくほのかな香りが部屋に満ちた・・




『残念ね、もうこの人は私だけのモノよ』



タンドールプワゾンの蠱惑的な香りは、
例え彼がシャワーを使っても判った・・・。




・・彼を奪い取ったのが、
それが、自分の可愛がっていた後輩で・・


これまでには麻知におくびにも見せなかった、
嫌らしい女の顔をガンガンと誇示する。




当て付けはエスカレートをし、
一寛はあまり麻知との部屋には帰らなくなった。



何時しか、
麻知はまんまと二人には視界には入らないような、
隅っこの方へと追いやられたのだった。



・・




m(u_u)mここでおねがいいたします☆


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ハートtender Poison・・
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それから・・


自分と別れた後に、
今はあまり遠くない私鉄沿線に、
一寛と結香が半同棲をしている・・



そんな噂を聞いたのは、
麻知が引っ越して間もない頃だった。




「・・ほら、あれよ、麻知先輩ったら、
あの子に寝取られたってことみたいね」




「しかし・・結香も酷い子だわー
あんなに先輩にお世話になってたのに」




「前もよ、あの子
美和子先輩の彼氏だってやってるからね」



「あ、シッ・・・」




女のロッカールームは猥雑な噂で持ちきりだ。
きっとそこまで知らなかったのは、
四年という安泰に
胡座をかいていた私だけなんだろう・・。


・・




・・なに、また、何処?・・・




灯りが見える、
また、あの薄ぼんやりしたオレンジ色の?



でも、今度はもっと沢山のゆらゆらが・・

何十も、何百もあるような・・・



え?・・・


はっとして麻知はまた目が覚めた。



・・あの光り、灯り?何所?あそこは・・・




自分の頭の中が、
整理出来ていない気分がした・・・。



とうとう、昨日、
こちらにほど近い私鉄の駅で、
麻知は別れた彼、一寛と、あの子、
結香が仲良く買い物をしている姿に出くわした。




すぐに気付いた麻知は、
割りと高級な食材が揃う山手のスーパーで、
見付からないように、こっそりと後をつけた。




ナチュラルチーズの売り場でブルーチーズを、
それから黒オリーブの瓶詰め、
生ハム、カンパーニュ・・・



それとなく聞こえた二人の会話は、
あまり憤りを感じではいなかった麻知に、
かつて無いくらいの衝撃を与えた・・




「俺さビールよりも白ワイン派なんだよ
ポテトチップスよりもナチュラルチーズだし、
前にはなかなか言えなくてさ・・」




「うふふふ、あの人鈍感だから・・
でも、四年も暮らしてて好みに気付かないなんて
カズと私がおんなじで嬉しいわぁ」




浮かれたカップルの声には、
自分には見せないラフさがあり・・
麻知は苛立ちが頂点に達したのだ。




白ワイン?ブルーチーズ?

カンパーニュにオリーブ?・・・




何よ、そんなこと一度も言わなかった癖に、
枝豆とビールが一番って、
自分で酵母の強いビールばかり買ってた癖に


それ、全部、
その女の好きな食べ物と飲み物じゃない!・・




悔しい、悔しくて、
今となっては怒りしか浮かばない。



・・言い知れぬ嫉妬と感情とが麻知を襲い、
その夜、日頃の疲れと共に、
何も食べず、何も口にせず、
ドッとベッドに倒れ込んで号泣した・・




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気付くと、また光りが、あの灯りだった・・



オレンジ色の光りは、
さらにチカチカと瞬いて、
今度はもっと沢山のゆらめきが見えた・・




・・目が覚めたと勘違いし麻知は気づいた・・・




「ひっ・・・」




目の前には、昔、西洋の童話で見たような、
顔まで隠れたずだ袋の
魔法使いのような衣装を身にまとった人間が・・



いや、それは人間では無かった・・・




人間では無い者の周りには、
おびただしい蝋燭の灯りが
チカチカとゆらゆらと輝いている。




「珍しい、人間の女だ、昨日も居た」



「あ、あの、あの・・・」




「我等は命の蝋燭の番人だ」



「命の蝋燭?番人って・・」




「そうさ、
命ぜられるままに人の命を消す役割だ」




・・命の蝋燭の番人という人物は何人かいて、
信じられない程にチカチカ瞬く、
人々のゆらめく命の番をしていると言う。




「何日も前から変だと思ったのさ
此処にはだ~れも入られん訳なのに」




「私、命が終わるということですか?
死んでいるとか、そんな・・・」




「ごくたまに居る、
間違って空間の隙間に落ちて来る奴が」




・・そうしているうちに、
奥の番人がサッと、
小さな金属で出来たキャップのような物で、
一つの蝋燭にぱっと蓋をして消した。




「今、あっちからお達しがあったのさ」



と、今度はまた違う一人が「あっ」と小さく叫んだ。




「おや、手元が狂っちまったようだな」




『え・・・!』




・・手元が狂って、
間違って蝋燭を消してしまうことが?ある-


命の蝋燭を?・・・・




少しすると、
考えてもいなかった言葉が番人の一人から。




「お前、だ~れにも言わなかったから
一つ望みを聞いてやろう・・」




「そうだな、誰にも手違いをチクっちゃいない」




「お前でも良い、誰でも良い
一つ蝋燭を消してやろう、希望があるのなら」




え・・誰にもって・・・・


・・・消すって・・・・




すぐに浮かんだのは、
麻知を陥れたあの女の顔だったが・・




「誰彼でいいと言う訳じゃない・・
悪党だな、
この世に居れば害毒を撒き散らすような」




・・害毒を撒き散らすような・・・



ガイドキヲマキチラスヨウナ・・・



 『悪党』




・・それからどのくらい時間が経ったのか?



気が付くと、
麻知は部屋のベッドに居て、
悪い夢でも見たかのような気分になっていた。




『やっぱり・・まさかね、
夢よね命の蝋燭の番人なんて・・・』



彼女は顔を手で覆って罰が悪そうに失笑した・・・。




が。。



その日に会社へと出勤した彼女は、
いつものロッカールームで
耳を疑うような話を聞くことになる・・。




「麻知先輩、すごいニュースですよ」




「死んだみたいです、あの子・・
夕べ、マンションの非常階段から転落して」




「え?・・・」




麻知は、夕べ深夜の夢うつつの中、
見たような夢・・
命の蝋燭の番人たちを思い出した。




『お前が一番、消してやりたい奴がいれば
一本、蝋燭を消してやろう』




「マンションの非常階段て
滅多に歩かないじゃないですかー
だから同居男性が事件と事故の
両方で取り調べ受けてるみたいです~」




一寛が取り調べを受けている、
結香が非常階段から足を滑らせて・・




その時、
麻知は顔には出さなかったけれど、
心の中で秘かに笑った・・



不謹慎なんて承知だ、
顔はポーカーフェイスのままに、
心の奥底では確かに笑っていた・・。




麻知は番人であるという、
彼らの最後の言葉を思い返していた。




「我々は余興好きなのさ・・」




・・害毒を撒き散らすような・・・




『だって・・

酷いことをするからよ、酷いことを・・』





ガイドキヲマキチラスヨウナ・・・



 ・・・・悪党・・・・



・・






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・・・続くかな・・・

。。








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