秋の夜の怪談話「水の記憶」2013 final
2013-09-04 Wed 00:53
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今期は怪談はこれで終わりますが、
来年度もまた、至らない文章をお待ち下さい。





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『・・何故かしら?
この辺りを通ると頭痛がするのは・・』





その鉄道の高架からは、
一級河川である有麻川の流れが見える・・



たまに仕事で通るその川は、
いつもは別段、不快な感じはしないのに、
曇天のだとその橋の高い鉄橋を通過すると、
必ずと言ってよい程ちりちりと頭が痛んだ。




『これで何度目?・・
曇りの日に川、水面を見ると頭が痛くなる』




・・最近、気が付いたのだが、
その鈍い痛みは何故だか曇りの日で、
川の流れがあまり速く無く、
その鉄橋を通る時にだけ感じた・・



なので、数度目にもなると、
頭痛の嫌な条件のような物が判って来たのだ・・。




『この前もだったな・・・』




由緒子はある地方都市に住むOLで、
公共事業系の仕事をする
半官半民の会社に勤務していた。



そこはたまたま橋の建築を手掛け、
大手建築会社との中間に位置するような場だった。





「由緒子、それって霊障なんじゃないかな」




同僚の同期で友達の亜季は、
何度かその話を由緒子から聞いていたのだが、
霊感のある彼女から見れば



心配だったのは・・


その鉄橋高架を通過する意味と、
会社に戻って来た
由緒子の酷く憔悴したような顔付きだった。




「河野課長に少し話をしてみて、
すぐにでなくても
出来れば担当を変えて貰う方がいいんじゃない?」




「大げさだよ、
第一、課長に何て言われるか・・
あのエリアだと変えて貰うにも誰も該当しなさそうだし」





確かに、会社自体は横這いな業績でも、
普通に回ってはいるのだと思うが・・



数年前の政権交代時に、
国全体の公共事業の見直しがされており、
人数不足の上に、
新入社員では難しいエリアを
由緒子が担当をしていたから。




・・亜季は一旦、アドバイスを諦めたが、
給湯室に向かった由緒子の後ろ姿に、
澱んだ水のようなイメージを感じて、
嫌な予感がしていたのだった・・。




『何時かちゃんと言おう・・・』




この川と頭痛の話は、
気がついていなかったかもしれないけれど、
最初に彼女から聞いた時から不定期に、
今回でもう三年近くも経っていたのだった。


・・



由緒子は一度、
実家から独立してはいたけれど、
何年か前に骨折してしまった祖母が体調を崩し、
父親も幼少の頃に亡くしていたので、
母親の手伝いをと、また実家に戻っていた。




大好きだった父方の祖母は、
自分の息子の一人娘だった由緒子を、
母という嫁の立場の子であっても、
実娘の子たちと分け隔て無く可愛がってくれた人だ。



でも、あれから
闘病生活の果てに亡くなってしまったのだが・・



また、出て独り暮らしをする気力が失せてしまい、
今は祖父母が残した実家に、
母とあのままに生活をしていた。




・・その日も、
帰宅途中に頼まれた買い物を母親に渡し、
色々な話を歓談をしながら、
楽しく夕飯を食べて寛いだのだが・・。




還暦を過ぎた母に心配をかけまいと、
あの鉄橋の話は控えていたのに、
ひょんなことから、
今日の川と鉄橋の話をつい話してしまった。




「え・・・」




いつもは明るく朗らかな母の顔が、
その時ばかりは少し驚きを隠せない様子で、
却って気遣いで配慮する様が
由緒子には気掛かりとなってしまった・・。




「お母さん、
何かあるの?その、鉄橋とか川とかに・・・」




口ごもる母親の感じは、
その頭痛のことに何かあるのか、
反対に考えさせられてしまうことになる・・。




その夜・・・


由緒子は昼間の疲れや、
夕飯の時のことからか、
あまり見たことが無い夢を見てしまった。




誰にでもありがちなのかもしれないが、


水・・の夢だった・・・




先ず雨が降って来た、
雨は次第に雨あしが強く変わり、
それは川のような場所に降り注がれ・・



川は次第に水かさを増して行った・・。




・・水かさを増した川は、更に濁流と変わり・・・



ごぼごぼごぼごぼ・・・・



逆巻く濁流の中で、
何故か由緒子は立ち往生していて、
足に何かが結ばれていて独りで逃げられない・・




流れは速く変わり、
更に濁流は由緒子の口から一杯に入り込み、
苦しさが全身を駆け巡った・・・




「う・・・・・」




由緒子は夜中に目覚めた・・。



夢の中に出て来た大きな川の、
大量の濁流にのまれたのだった・・




気になった、
度々見た夢では無かった筈なのに、
それなのに記憶の何処かにあった気がしたから。




「何よ、何なのよ、この関連性は」




実は-


彼女自身が意識をしてはいなかったが、
夢でうなされるのも、
これが初めてのことでは無かったのだ・・。


・・





m(u_u)m ここでおねがいいたします☆


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ハート今年怪談はこれでいったん終わります
↓今回ちょっと・・後味が・・・・




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もっとお話を読んでみたい方だけどうぞ・・・☆





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・・次の日、由緒子は同僚の亜季に、
夕べ実家であった些細ではあるけれど、
気掛かりなことを昼休みに話した・・。




その時、亜季は一旦、躊躇ったけれど、
思い切って由緒子に切り出した・・




「変な新興宗教とかじゃないんだけど・・
知り合いに紹介されて行った
祈祷師がいるんだけど・・
一度、一緒に行ってみない?」




「祈祷師・・何か判ったりするかな?」




「うーん、明確な答えが出るかと言えば、
どう言えば良いのか自分でも分からないけれど


由緒子、気付いてる?
あの有麻川の鉄橋高架の話を聞いて、
私、それは数回だけじゃ無いのを覚えてるんだけど」




「え?・・・」




「心配だからこの際、言わせて頂くね・・
最初にその話を聞いたのは、
由緒子のお祖母さんが亡くなった辺りからだよ」




由緒子は驚いた、
自分が会話した鉄橋や有麻川のこと、
頭痛が起こることや、
そんなことが、
まさか祖母が亡くなった辺りからだったこと・・



目の前の亜季や・・・


もしかしたら?
昨日、怪訝な顔付きをした母親にも
同じように話をしていたのかもしれないと思うと、
不思議な感覚に襲われた・・・




反対に、この自分の記憶の
ズレのような体験は何なのだろう?



由緒子は意を決して、
祈祷師という老婆の元に行く気持ちが固まった。




そこで・・数々の疑問は、
亜季の知人の紹介だったという祈祷師によって、
ある程度ではあったが紐解かれた。



それは、当事者の由緒子を含め、
彼女たちを震撼させるに十分だった・・。


・・




行ったことは無かったが、
あたかも時代劇にでも出て来るような、
真っ白な着物を身に纏った老婆は、
燃え盛る祈祷のための火を前に、
前時代的な呪文を唱えると・・



小さな香木を、
何本か燃え盛る火の中に投げ込んだ。




そして一瞬、
真っ黒にすすけた天井を見ると、
「ひいっ!」という奇妙な声を張り上げた・・




不気味な沈黙が漂い、
その後にかっと見開かれた祈祷師の黄色い目は、
由緒子に言い知れない恐怖を与えた。




「暴れ川じゃった有麻川の橋架けに、


雨を諌める(いさめる)ために立てられた
村娘の姿が見える・・


人柱じゃ・・・

お前は人柱だったのじゃ・・・」




人柱、自分の昔が?
過去世の私が有麻川の橋架けの・・



・・由緒子と亜季は顔を見合せた・・・



物騒な話だったのだが、
これまでのことを繋ぎ合わせても、
何故だかしっくり来てしまったからだ。




曇りの日、
鉄橋の高架から水面を眺めた時、
まるでタイムラグのあるような、
目眩ましの何年間の話・・・




老婆の理解しがたい話を繋ぎ合わせ、
ようやく色々な過去のことが判った時、
由緒子は・・その次に、
では、これからどうして良いのか?
自分だけではもて余してしまった。




祈祷師から護身用の御札を貰って来たが、
一つ疑問が残ったままだったのは、
祖母が亡くなった辺りから、
これまでの記憶だった・・





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『だったら何故?
これまで記憶が甦らなかったのだろう』




・・帰宅し、
見た目から禍々しい御札を掲げるには、
何時か分かってしまうと思った由緒子は、
夕飯の後に、母親に出来るだけ分かりやすいように、
今回に至るまでの経緯を話した・・。




話し終わって、祈祷師からの御札を見せた時、
目の前の母がわっと泣き出した・・




「ごめんなさい、ごめんなさいね
母さん、判っていたの・・
お祖母ちゃんがね、死んだお祖母ちゃんが」




その時、母親の耀子が話したのは、
今日、祈祷師に会った出来事よりも驚く話だった。




「お祖母ちゃんね、
あなたが産まれた時に心配してたのよ・・

実は昔
お祖父ちゃんの家系が代々治水の神主で・・

お祖母ちゃん、産まれた時に
由緒子の右耳にその印があるとかで」




祖母はその治水家系にある、
刻印めいたあざが気になり・・


孫娘を守るために、
毎年、氏神様に守護札を貰い、
神棚に納めていて・・
その御札の力で由緒子を守っていたという・・。




「御札は母さんが今は貰って来てるけど、
お祖母ちゃんよりも私は力不足だから・・」




・・なるほど、
だから祖母の死後に守りが解けていたのか、
あらゆることが白日の元に晒されたが、
何故か由緒子は、
以前よりも気持ちが落ち着いた気がした。




。。



落ち着いたと思ったのは、
たぶん一時的な錯覚だったのかもしれない・・。



その夏のとある日だったが、


大雨があった時-



とうとう違う事件が起こってしまった・・・



かつて無かったような大雨の日だった・・。




その突然の訃報に由緒子は耳を疑った。





「亜季、亜季、

どうしたの!何で、何でなの?・・」




葬祭場で彼女の母親と会った時に、
荼毘に伏される前の亜季の顔を見せて貰った。





「・・足を滑らせたみたいで・・

昨日、有麻川の川岸でなの・・・」




・・・有麻川・・・・・




「亜季、あ・・・」




彼女の顔の額の隅には、
見覚えのあるアザのようなモノが・・




その時、ようやく由緒子は、
あの祈祷師の言葉は今更ながら思い出した。




・・御札を手渡ししながら言った言葉を・・・





「気を付けるがいい、他の念がおる・・

人柱はお前様だけでは無かったからな・・



これは独りにしか利かん

一緒のお前様も気をつけるがいい・・・」




・・







すみませんワタシは占い師


・・・今期はこれにて終わりだとも・・・

。。









ハート実話に近い・・人間の方が数段怖いです
↓なお、中の個人名や固有名詞は
事実とは関係がない創作によるものです




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(゜▽゜*)いつも最後までありがとうございます。

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