夏の夜の怪談話 「DNA」
2014-07-28 Mon 00:23
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  「DNA」







時生(ときお)には、
古くから続いている商から、
一代で大きな会社へ築き上げた祖父が居た・・



居たというのは、祖父は亡くなり・・




直系に、
二人の娘しか居なかったと会社を、
彼が事実上、
今は後継者として継いだ形となっていた。


・・




その会社の、
会長であった祖父の二人の娘とは、
つまり時生の母親と叔母であったのだが・・




娘の婿たち、
時生の父親と義理の叔父の力量では、
これからの会社の社運を任せられないと判断され、
会長職にあった祖父から、
鶴の一声で、
後継者が孫の時生になった経緯があった。





そこには、
会長である祖父側の贔屓などでは無く、
シビアで現実を重んじる祖父の、
あくまでも会長というサイドから、
冷徹なまでの人物の見立てが入っていた・・。





『・・正直、迷惑でした、お祖父様』





会長職の祖父が肝臓ガンとなってしまい、
余命幾ばくも無いと宣告された年-




あの頃は時生はと言えば、
高校生になったばかりで・・・




。。



公的に弁護人を立て、
同族会社には終わらせていなかった、
その大会社の後継者をと言う時に・・。




二人の娘婿でも無く、
現職の常務、専務でも無く・・
更には叔母夫妻の息子と娘(時生の従兄弟たち)
では無く、
長女の一人息子であった孫の時生が、
後継者の御墨付きを貰う事になった・・。





子どもの頃から利発さや人間性までも、
圧倒的に違っていたから、にしても・・



叔母夫妻は元より、
自分の父親までも越してしまった人選・・




・・それは、
高校生の時生にはかなり酷な物であった。





「お父様、何も私の夫は別としても、
次期の経営者の人選が時生なんて・・
重荷です、早過ぎると思いますが」





「仕方があるまい、一番の適任者だ
お前は今の伴侶が(時生の父親)、
常務の安積君の次期に向きだと思うかね」





時生の母である長女の眞砂子は、
好きでは無かった男性を婿に迎えられ、



しかも・・


それが父親のお眼鏡に適う人間だと言われ、
いわば政略結婚を強いられたのに・・・




「せめて、あの子に強制だけを続けるのは・・」




「それは経営者ではない女の見方でしかない・・


私には会社と何千人もの社員と、
更にその族をこのままの安泰に導く責任がある」




「私は、私の族は、その犠牲ですか?」





「お前には解らない・・
私が死んだら、
嘉世(かよ)が時生の後見人になるようにする」





嘉世は眞砂子の母親であり、
一族を父親と共に仕切っていた・・。




取り付く島の無い父親の頑とした態度には、
非力な自分の言葉は、
一切、響かないという事を
眞砂子は嫌と言う程思い知らされていたため、
不毛な一方的の嘆願はそこで終ってしまった・・。





・・その後、後継者として
公に手続きさえも済まされた時生は、
経営者としてのノウハウから、
祖父が命ずるままの留学・・・



好きな趣味までも取り上げられてしまい、



金銭はあったとしても、
一円も好きな物を買った覚えが無い。




それどころか、
道はきっちりと真っ直ぐに
祖父の価値観だけで作られた物であった。





時生は、正規の手続きが済んだ、
そのたった何日か目には、
英才教育やら大学の進路までも、
全く余地が無い生活のハードさを、
痛い程に理解しなくてはいけなかった・・・。



・・




m(u_u)m ここでおねがいいたします☆



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ハート今回は・・なんですか・・
↓『身動きできない後継者』というイメージが




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もっと続きを読んでみたい方だけどうぞ・・・☆







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「お祖母様、で・・
本日のお嬢様はいかがでしたか?」




その部屋は三十畳もあるだろうか-




だけれど、
以前の蔦が悪趣味に絡まるような、
アールヌーボー様式から、
今はシンプルにインテリアを変えていた・・。




時生が唯一、
自分が好きな仕様に変えた部屋・・・




昔からのお手伝いの蓉子が運んでくれた、
冷たいアイスティーとオレンジジュースとを
ブレンドした飲み物を口にし、一息ついた。





「しかし、疲れるな・・・」




「それはあの娘では疲れるわね・・」





「だったら、最初っから
お祖母様が配慮下すったら良かったのに」




「・・ふふ、私では今や駄目だと、
お前もよく分かっているじゃないの」





・・確かに、と時生は思ったが・・・





ありがちな有力者の紹介とやらで、
先ほどまで、
オーソドックスな見合いの席に居たのを、
後見人を継いだ祖母へ、
結果報告がてらに会話をしていたのだが・・・。





・・彼はあれから・・・



両親の元から離れて、
会長職に退いた祖父母の屋敷に住まいも移した。




それは、心配の余りに、
疲れ果てている母親の眞砂子に、
なお、心労を与えたく無かったからでもあった。





。。


その後に、
祖父がとうとうこの世を去った時-




人一倍、感覚、
特に感さえも強かった彼には、
規模が並みでは無い葬儀の中・・




祖父の、特注という、
意匠を凝らした紫檀の棺に、
もやもやと嫌な顔付きのモノたちが、



『ざまあみろ』とか、


『お前が豪胆だからだ』などと、



どす黒い煙りのような霞を出しながら、
嘲笑う罵声を浴びせていたのに気が付いた・・。





『死だけじゃないな・・


あれは、半分は生が取り憑いているのか』




時生は、少しだけ驚いた・・・


が、それは恐怖などでは全く無かった・・。




驚いた理由は、ことの他、
葬儀に来るよからぬモノたちの数が少なかったから。





「意外だな・・既にあの世だからなのか」




・・これまでも、
様々な嫌な出来事は見て来た-




代表取締役(社長)として何度も足を運んだ、
祖父の会長室には、
とうに闘病生活も終焉と言われていて。




が、主が不在にも関わらず、
叔母の夫やら、自分の父親やら・・・




甚だしい時には、
母親である眞砂子らしき生までもが、
広い部屋にもそもそと飛んでいた。




特別室のあった病院に向かう
その社用車には、
夜に車の上にカタチの無い何かが居て・・




人間、泥棒とか恨みのある人物かと思い、
警備員を呼ぼうと身構えたが、
黒い複数の影は、
一人、また一人と散り散りに飛んで行ったのだった。





『・・またか、
お祖父様は余程、敵を作って来たのだな』





・・葬儀の後に名実共に代表取締役となり、
30代も半ばになった時生にパートナーをと。





今では勝手に周囲が、
自分たちの有利なポジションのために、
広大な土地持ちのご令嬢とか、
叩き上げであっても羽振りの良い、
つまり各々の会社に有利な政略結婚を目論んでいた・・。





「人間というのは欲深いものですね、お祖母様」





「今日の娘には恋人がいて・・

親の金で借りた邸に男を呼び入れて、


しかも、ホスト倶楽部通いをして
取っ替えひっかえしてる不埒な女だからかい?」





「おや、分かっていたのですか、それが」





「お前が見合いの前に調べていたのと・・
そこに前の情夫の死が憑いていたんだろ?」




「お祖母様、
今は情夫ではなく セフレ と言うのですがね・・」




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・・どちらでも良かった、
時生にはパートナーなんて、
祖父亡き後にようやく安堵をしていたのに、
何を今さらといった感じだった・・。





彼は異国の地で、
留学生の時には適度に羽を伸ばした・・。
恋人だけではなく、
一度切りのお相手なんて、
容姿もよい彼には事欠かなかったのだ。




お金は自分の物では無かったにせよ、
日本に居た祖父母は分かりながら容認していた。




更に・・・



大切な後継者である孫には、
異性だけでは無く、
同性の恋人が居た事も分かっていた筈だった。






「・・史彦、は・・・

今は何処に行ってしまったのかね」





一瞬、時生は読まれたような気がして、
クールと言われている顔が、
不用意に大きく歪んだ感じになった・・・。





「さてね、僕が聞きたいくらいですが・・」





それから、時生は壁際にある、
仕事の匂いがしない卓上のタブレットに触れた。




来週もまた、
気の乗らない年下女性との見合いがあるようだ。





プロフィール?



顔写真?・・・



・・要らないな、僕には要らないんだ・・・





「ヤケを起こしちゃいけないよ、


時生・・・


今日のご令嬢の事で傷付いたのかい?」





その時・・・


カタカタカタと何かが鳴ったような・・・



次に深い溜め息のような物が聞こえた・・。





「分かっていたのですね、お祖母様・・


史彦、僕が前に付き合っていたのが


それが、今日のあの女と・・・」





孫を思いやるような声は、
そのカタカタと鳴る方から聞こえて来た-





卓上のタブレット端末の、
少し奥には備え付けの棚があった・・・




備え付けの棚には、
祖父が死んだ時と同じような紫檀の箱があった。





「・・どういう因果な巡り合わせなんだろうね


あの娘に史彦の死が見えたなんて」





・・やはり 祖母にはお見通しだったのか・・・




しかし・・・


本当に、胸糞が悪かった・・・。





目の前に居た、
見た目は完璧な淑女になりすましていた淫蕩女に・・



昔、同棲までしていた、
自分の(バイセクシュアルな)
死んだ恋人だった史彦の霊が見えたのだった。





『趣味が悪いよ、史彦・・・


あんな堕落した女に喰われていたなんて』





・・今度は時生がふうっと深い深い溜め息をついた。




箱が判らないよう隠し戸がある棚、
その箱の中から、
時生は青磁の壺があるのを確認した・・。




それは・・・


火葬したのちの骨が入った壺であった・・・。





「お祖母様、窮屈ではありませんか?・・」





「ふっ・・・

誰がこんな 骨壺 の中に・・


私はちゃんと違う場所からお前を見ているのよ 」





「そうですか、ではせめて、


前の彼とか彼女とかではない、
縁が無かった見合いにして下さい


・・見守って下さっているなら、お祖母様」





そう言うと同時にふっと気配と声が消え、


シーンと何も聞こえなくなり、




カチャ・・と青磁の壷の蓋をした・・・




『虚しいのはとっくに覚悟の上だったじゃないか』




また、時生は溜め息を洩らし、
自分の寝室へ行くため、
そこまでは換えなかった重たいドアを閉めた・・・。





広い主の去った部屋-




ラリックの工房の名残を見せる、
品の良い硝子テーブルの上には、
彼が飲み残したグラスが一つだけ・・・




そこにはまた、

深閑とした闇と、静寂が漂うだけだった・・。



・・







すみませんワタシは占い師



・・・続くとも・・・

。。



 




ハートどんな人にも裏の生活がある・・
↓著名な人は大変だと思いますが・・




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(゜▽゜*)いつも長い階段、いや怪談を最後まで

お付き合い頂きありがとうございます・・。

また、書きたくなった場合にアップしてみます。



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