夏の夜の怪談話 2016 「アルバイト」
2016-07-21 Thu 00:38
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今年もまた、不定期に怪談を書いて行きます。


拙い文章ですが、
幾つかの話の中に、
皆さんの琴線に触れるお話がありましたら。




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 「アルバイト」





彰生には毎年、
秘かに楽しみにしていることがあった。




それは季節労働とでも言えば良いのだろうか、
いわばこの時期だけのアルバイトだった。




季節労働とは言ってみても、
日頃は駅前の学習塾で教鞭をとっていたため、
別段、独り暮しに困る訳では無かったし・・



何年か前に、
そのシーズンしか開かないバイト先の、
マネージャーだか、
管理者だかに声をかけられたのが最初だった。





「あの・・大変に言いにくいのですが、
ウチでアルバイトをする気はありませんか?」




初めはその接触の仕方が不躾だなと、
ちょっと怪訝な気分だったけれど・・



内容を聞いて行くうちに、
何故か日頃の鬱積が少し晴れるかもしれないと、
マネージャーという男の話を聞いて思った。




『幽霊のバイトか、オモシロイかも・・』




では何故、
彰生にそんな話が来たのかと言えば、
管理者の男はまた、ユニークな言葉を放った。




「生きていらっしゃるのに、
生きてはいない感じが秀逸だからです」




その一言で、
彰生は割と簡単にその季節のアルバイトを受けた。




『生きてはいない感じが秀逸だから』




ふと帰宅した後に、
あの、それこそ影の薄い男に言われた言葉が、
今更ながら気になってはいた・・。




思いがけず彰生は、
これまでの人生を振り返ってしまうことになった。




「確かに、あまりいい生き方じゃなかったけど」


・・




その地方にある大きな遊園地の、
夏を盛り上げるお化け屋敷は、
夏休みという時期とも重なって盛況だった。




保生が最初にその作り物の裏手に行くと、
飄々とした管理者、オーナーが出迎え、
彼にお化け屋敷の中の衣装を手渡した。





「ゾンビですね・・なるほど
あのですね、僕は仕事が他にあるので、
毎日という訳にはいかないのですが・・」




「分かっていますよ、
駅前の塾でお仕事をされている」




「え?前に言いましたっけ?」




それからお化け屋敷のオーナーは、
にこりと薄い笑いを浮かべて言った。




「シフトですが、
昼の11時から夜7時の間で
来れる時には前日までに、
モバイルでメールを送って頂ければ」




彰生は最初から狐につままれたようでもあり、
でも自分では夏期講習の最中、
ストレスが溜まりまくっていたもので、
反対にユルい雇用内容にほっとしていた。




そして・・

初日から彰生のお化けのコスプレが始まった。


・・




むろん、夏は学生たちには大切な時期だ-



それと比例するかのように、
彰生の仕事は相変わらず忙しかったが、
あの遊園地へは、
特に後半のタイムテーブルに空きがあれば、
何故だか心待ちにして向かう自分がいた・・。




・・この二重生活は、
きちんとした態度を当然のように強いられる、
日々の息苦しさのような部分から、
一時的に解放をしてくれていた・・。





何年が過ぎ去ったかも忘れた気がした・・。




その場所はオーナーのカラーが出ているらしく、
そこに集うアルバイトもまた、
少し変わった感じの人たちのように見受けられた。




反対に、でも距離感がある気がしたし、
皆、詮索好きでも無かったため、
彰生は毎年その場へと気楽に足を運ぶことが出来た。





・・ある日・・・



休憩時間に、
どういう訳か前から不思議な噂があった、
鴇田という男の話になったことがあった。




彼は全身古びた包帯に身を隠した、
病院に念を残したというお化け役で、
まともに顔を見たことも無かったのだが・・



珍しく、お化けのスタッフの何人かが・・




「鴇田さんはさ、
実は本当に生きて無いらしいって噂でさ」




「そうそう、彼って一番最後に残るよね
誰もこうして休憩で素顔なんか見たこと無いって」




「・・俺も聞いたことあるよ・・
もしかしたら実体が無いんじゃないかって」


・・






m(u_u)m ここでおねがいいたします☆


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ふーんと彰生は思った・・・



それはそうなんだろうけど、
休憩室に集まるこのメンバーだって、
鴇田という男のことばかり
やり玉にあげる感じでは無いような?と-




そら、そこの瀬川という、
フランケンシュタイン役の男にしたって、
何ら鴇田という包帯男と変わりがない感じだった。




とりあえずは、
噂話に花が咲いたのは、
休憩室では一度切りくらいだったから、
誰がどうだとか、そんな話は、
それ以降は次第に無くなって行った・・。




。。



ある日とうとう、
その廃墟の病院に念を残したお化け役、
全身包帯男の鴇田が来なくなったのだ。




少しだけざわつく、
唯一の溜まり場の休憩室だったが、
以前にも鴇田だけではなく、
もっと影の薄い人たちが知らず知らずのうちに、
アルバイトを辞めていた気がする・・。




しかも今回は、
人を驚かせるという仕事であっても、
きっちり見物料金を頂いているのだからと、
あのオーナーが説き伏せに来たことがあった。





「鴇田君のことですが・・
あまり悪い噂話は止めてください
仕事全体のクオリティや、
皆さんの士気が下がるため説明させて頂きます」




それからオーナーは、鴇田というスタッフは、
父親が高齢化をしていて、
体調が思わしく無くなったため、
東北の田舎へ帰ったのだと言う・・



だから、
無駄につまらない話にはしないようにと。




東北の田舎か、と彰生は思った・・・



どうやら、たぶんそうでは無いことは、
彼にだけではなく、
そこに居合わせた皆にも分かった空気が流れた。





それからはまた、
平穏な生活と、空きでのアルバイトが続いた。




彰生は不在となった、
鴇田という男の代わりとなり、
お化け屋敷の中でも、
より一層、女の子たちが黄色い声で叫ぶ、
廃墟の病院という場所に移動となり・・



何人かいたゾンビ役という、
いい加減なポジションでは無くなった。




ただ、包帯をぐるぐる巻きにしたような衣装は、
目だけが出ているために、
なおのこと恐怖心をあおる不気味さになった。





・・夏はまた充実を伴い、足早に過ぎて行った。




彰生には久々に気持ちが満たされ、
また来年もこのアルバイトを続けようと考えていた。


そうした矢先、
彰生のモバイルにオーナーからのメールが着信した。





『明日、シフトに入っていると思いますが、
仕事の後に管理人室へ来てください』




何だろう?と彼は思った-




オーナーからの直接のメールは、
最初に何度かあっただけで、
ちょっと不可思議な気分に苛まれた・・。




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その日 -



いつものように彼は包帯男の姿となって、
残り少ない夏の日の夕刻を、
まだ夏休み中の女子中学生たちを驚かせた。




キャーキャーという、
聞き慣れたトーンの女の子たちの声は、
罪の意識も加わって、
何時もあまり心地好い訳では無かったが・・。




仕事が終わり、
あのメールを寄越したオーナーが待つ、
管理人室のドアをノックした・・




「入ってください」




風体と共に声も遠慮がちな彼の声が。



静かに中に入ると、
何ら変わりがない彼の姿があったのだが・・




その口からは予期せぬような言葉が-





「とうとう君も卒業をする時が来たのだ」




「卒業って、何から卒業を?・・」




「身に覚えはある程度、脳内にあると思う」




・・身に覚えって、卒業とは・・・




「君たちは・・
自ら命を絶ったのだという過去がある


ここは遊園地にあるお化け屋敷では無く、
君たちは本当に実体が無い存在なんだよ」





『え・・・・』





本当に実体が無い存在・・・



彰生は、その時にようやく記憶の一部が甦った。





駅前の学習塾、



その六階建てのビルの屋上だった・・・




「君は・・

塾に来ていた生徒と恋仲となり、

その後、父兄と関係者から詰め寄られて」





時折、彰生の記憶の中にあった、
どうん ・・という嫌な鈍い物音は、
六階から身を投じた時の音だったと気がついた。





「でも良かったな・・・


生前には有望であったのと、
小乗界へと堕ちる前にこちらに収監されたのだ」





「生徒と恋仲って・・・


で、これから僕は一体、何処へ?」





「ようやく


天界への一歩のチケットを得たようなものだ


また、明日から違う修行の場へと送られる」





「あ、あの・・・え・・・・」





次の瞬間、彰生は意識を失った・・






・・深い深い闇の中に落とされたような気がした。




しばらくして、
ジーっというような音で目が覚めた・・





「村田先生、良かった起きられましたか」




「あの・・僕は?ここは?」




「嫌だな、名晋塾の講師の控え室ですよ」





塾に戻った?・・で、何故?・・・




入り口に誰かが来ているようで、
控え室に居た同僚が言った-





「あれは三組の生徒ですね・・

木崎友理奈が来ているようですが」





木崎友理奈・・・




・・さて?聞いたことがあるような・・・





彰生はゆっくり起きて静かに入り口に向かった。





その時、

何処かで聞いたような男の声がした・・





『・・間違わないように、



今度は間違わないようにしないと・・・』



・・







すみませんワタシは夏には怪談を書く占い師




・・・続くかも・・・


。。









ハートその後の選択が運命の分かれ目
↓そんな一話目でしたが・・




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(゜▽゜*)今年もまた、自作ですが怪談を・・。

誤打は読んでいてね、レスなど遅れますが。


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