夏の夜の怪談話 「美しい庭の家」
2016-08-15 Mon 00:48
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 「美しい庭の





抄子には毎日、通勤に出る途中に、
そこを通るのを楽しみにしている場所があった。




その小さく造成された区画の団地は、
およそ十世帯くらいの屋が並んでいたけれど。




春には、
まだ若い桜並木にうす桃色の花が咲き、
また、静かにはらはらと散って行く・・
夏は花壇に植えられた色とりどりの花が競う。




秋になれば、
作為的に作られたのだろう、
々を結ぶ瀟洒なウッドデッキのような木枠に、
蔦が絡まっていて、
晩秋には赤く色づいた葉が落ちている。




何時も近隣にいる野鳥が、
団地に植えられた木の鳥の巣箱に集い・・



それがすずめであったり、
メジロだと思われる鳥だったり、
バードサンクチュアリのようで心地好い。





「・・天国があったら、
もしかして、こんな風な感じかしら」




自分のマンションと言えば、
趣味が昔はスポーツで、
しかもアイテムが少ない陸上部だったし、
どうも一般女性的な趣味が無く、
1LKの部屋は何だか殺風景だった・・。




でもお洒落は嫌いでは無かったし、
容姿を冷静に見てみれば、
悪くは無いのだろうけど、
華やかさには欠けていたりする・・。




特に近年は、
やる気も起こらない会社に転職してしまい、
自業自得とはいえ、
その殺風景さに拍車がかかった感もあった。





・・そんな生活感が欠けた彼女は、
最近までそんな美しい造成地があるなんて、
通過するまで全く分からなかった・・。




どうしてもやや遠回りになり、
足が目が自然に庭と言うか、
ガーデンというイメージの庭へと行ってしまう。



砂を噛むようなまるで潤いが無い生活を、
そのエリアで補うような感じさえする・・。





・・パーゴラと言うのは、
後から聞いて知った単語だけれど、
軒下にあるそれには、
木製の椅子と共に葡萄のつるが巻き付いている。




広い庭には小さいあずまやもあり、
手の込んだ造りについつい見いってしまうのだ。




抄子がその々の間や道を通るのは、
もう一つ、理由があった・・。




じろじろと見ていた訳では無かったりが、
区画の一番端っこのこのには、
まだ幼稚園くらいの可愛い男の子がいるからだ。





そのの奥さんの趣味なのだろう、
歩道や並木や花壇だけではなく、
その子が住む家の庭はことさら花々があり、



抄子が見たことも無かった花や植物で、
まさに百花繚乱といったところ -





「あ、お姉ちゃん、会社へいくの?」




「ユウキ君、お早う、また寄り道しちゃった」




男の子とは目が合った時から、
簡単な会話をするようになっていた。


・・



抄子はそれから気合いを入れながら、
また、会社という社会の中に、
入り込まなくてはいけない気がした。




何気なく通るあの小さな天国が非日常であり、
会社は何年も勤めていても、
頑張ってはみているけれと、
彼女に取っては異空間でもあったからだ。




普通の規模の会社ながら、
まだ男尊女卑も色濃く残ったそこは、
行けば恐妻家と噂される課長が、
早目に来ていて椅子にふんぞり返っている。




机の上のパソコンの前で、
ぼんぼりが付いた耳掻きを使い、
果てはフッとその辺りに息で吹き飛ばす。




『またやってる、不潔だなぁ・・』




課長が朝早いのは、
きっと奥さんに追い出されるからに違いない。




抄子が静かに入って挨拶をしても、
「あ、おっは」とつまらない軽さで返し、
時間で部長が来ればへこへこと煩くお辞儀を続ける。




『・・こんなものなのかしら、どこの会社でも』




彼女に取っては二社目になるのだが、
合わないと感じて
辞めてしまった前の会社の方が、
まだ人間性では勝っていた気がする・・。




退屈な一日がこうして始まる -





・・それから・・・



彼女は何度もあの駅からはちょっと遠回りな、
でも心癒される団地へと足を伸ばした。




特に何時もは朝が多かったけれど、
一度、昼間のムシャクシャした気分を変えたくて、
帰り道に、
ユウキ君の家の前へ寄ってみたことがあった。




夏も終わりに近い時期だったけれど、
だとしたら夕方の6時過ぎなら、
灯りくらい点いている筈の暗さだったのだが。




「あれ?ユウキ君、今日は誰もいないの?」




軒下の椅子には、
男の子が朝に会う時のように座っているのだけど。




「いないよ」




「ママ、お買い物とかなのかな?」




「そうじゃないよ、でも大丈夫だよ」




また来てねと、
彼は言って別れたけれど・・
抄子はふと気が付いたことがあった・・。




『ユウキ君のお母さんて人、
これまで会ったことがあったっけ?』


・・





m(u_u)m ここでおねがいいたします☆



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・・少し不思議な感覚が抄子を襲った・・。




『まさか、ね・・・』



・・




何日か過ぎた-



季節はうつろい、
たぶん、昨年は葡萄棚には
マスカット色をした実がなっていたはず。




朝にそう思い起こし、
また、ユウキ君にも会いたくて、
抄子は遠回りをしたのだったが・・。




よし、今回はママのこととか話してみよう。
迂回をし、足取りもお天気が良くて弾んだ。




団地の入り口のような手前のにも、
蔦が少しずつはびこりを延ばし、
にはすすきが見えている庭もあった。




抄子はまた、
一番端っこの彼のへ行ってみたのだが・・
ユウキ君はまた、
変わらずに軒下のパーゴラの椅子にいた。




変わらない軒下のパーゴラ



そのパーゴラの椅子・・




抄子は不可思議な気分になった・・



これまで彼を、
その場でしか見ていないことに気が付いたからだ。




「ユウキ君、あのね
ママとかパパとかは今日もいないの?」




そう咄嗟に出た言葉に、
椅子に座っていたユウキ君は、
とても暗い顔付きに変わってしまった。




「ごめんなさい、ユウキ君あの・・・」




その時、ユウキ君が無表情で抄子に言った。




「お姉ちゃん、今日の夕方にまた来て、
絶対だよ、必ず来てね」





・・今日の夕方にって、絶対って・・・



何か予定は無かったっけ?


夕方、今日の夕方にね・・・



・・夕方に・・・





その一日は何故か長く感じた・・・。




一つ奥のパーテーションにいる課長は、
さすがに仕事中には普通の人に見える。



会社と夢のような団地の差異は、
課長とユウキ君との落差にも似ている気がする。




仕事が終わり、
抄子は淡々とした足取りで会社を後にした。




夕暮れ近くの街は、
秋口というのに暑さが残る中、
人も時間も色褪せて見えた・・



抄子は朝とは違い、
疲れもあるのだろうけど、
何時もは軽やかな足取りがやたら重かった。




しかも・・


駅のホームで電車を待っている時に、
耳鳴りがしたかと思うと、
知らないお経のような声が聞こえて来た。




『・・嫌だわ、お経みたいな・・

何か、息苦しい気がするけど』




彼女はそれでも自宅のある駅に降り、
遠回りをして、
陽が沈みかけた美しい団地へと向かった。




『ユウキ君、いるのかしら』





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少し勾配のある一番端のまで、
一気にかけ上がったのだが -




『ここは・・・』




違う、
こんなじゃないよね、ここは・・イッタイ何処?




美しいはずだった、その団地・・


だが、抄子の目の前に広がった団地は。





『お姉ちゃん、来てくれたんだね』




「ユウキ君、何で?ここって」




古びた々は色褪せた廃墟のようで・・


ススキの群生が広がり、
ここかしこには雑草が延びきっていた。




『お姉ちゃん、ぼく、寂しかったんだよ


お姉ちゃん、誰も来ないのに、


一人で来てくれてた・・』




・・抄子はその彼の言葉で思い出した・・。




何時か見た新聞だった・・



・・無理心中、


別居中だったのに、
に父親が奥さんと息子を呼びつけ、


妻子を惨殺・・・



息をしていた男の子は、
途中まで息があったが、
祖父母が来た時に心肺停止に・・・



花見川近くの小さな団地で -




うちの近くだわ、
そう思って抄子は歩いたのだった、
その子が可哀想になってしまって・・。





『お姉ちゃん、一緒にいこうよ・・』




「ユウキ君、私はだって・・」




『大丈夫だよ、お姉ちゃんもぼくと同じだから』




『一緒だから?・・あ・・・』




・・ふっ、と二人の声のようなものが消えた。





・・その時・・・



抄子が住んでいた、
マンションの一室で同時に声がした・・。




「むむ・・・」




「これは・・ようやく成仏されたようですな」





一人は僧侶のような風体だったが、
顔付きにはあまり品が無い・・




マンションの管理者らしき男性が、
クリアファイルの中に挟んだ、
少し古い新聞の切り抜きを畳の上に置いた。




『花見川団地 母子無理心中の父親


死に切れ無かったため、
妻と子どもを殺害したのち・・


近辺をうろついた果てに、
マンションに帰宅した女性の部屋に押し入り、


道連れに殺害・・



市木抄子さん(31歳)は、
病院に運ばれたが既に即死していた模様』





「でも良かった、これでリフォームが出来る」




「・・佐山さん、それはちょっと」




「ははは・・
隣から夜に声が聞こえただけですから
今は事故物件でも借りる人は多いんですよ」





「しかし不思議な声でしたな・・


美しい、綺麗だ、天国のようだって


普通なら凶行の犠牲者なら
もっと恨みがましい声だったりする筈なのに」



・・






すみませんワタシは夏の怪談を書く占い師



・・・続くかも・・・

。。












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(゜▽゜*)いつも最後までありがとうございます。

誤打は読んでいてね、コメレスなどなど遅れます。

こういうことも実はある・・という視点ですが、

表現が不足していたらすみません・・。



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