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夏の夜の怪談話 後編 「お屋敷の扉」
2019-08-10 Sat 21:40
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『・・何処かしら、ここは・・


でもこの扉、前からずっと知ってた気がする』




そのお屋敷の前を通るたびに扉を見いってしまう。



紗月は懐かしいような、
また反面、不可思議な感覚を覚えた・・。

・・




今は仕事を離れて、
少し街より郊外のマンションで、
好きだった男性と生活していたのだが。




日課になっていた、
散歩がてらの買い物途中に、
周囲の景観には似つかわしく無い、
かなり古い洋館があり・・
紗月はその前を通るのがちょっと楽しみでもあった。





『あの扉が開いて、


誰か出て来たりしないかな・・』




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彼と暮らす前に、
紗月は大学で同じゼミだった、
親友でもある眞知子にその話をしていた。




眞知子は喜んではくれたけれど、
目の前の紗月の目が、
結婚をする前の女性とは異質のものを感じていた。




運命的な出会い? で再会して、
好きだった元カレと暮らすような、
いわばキラキラとしたものが無かったからだ。





「ねえ、本当にそれでいいの?
別れて良かったって、
前にはスッキリしたって言ってたよね
運命って言葉に逃げていない?」





「・・大丈夫よ眞知子、
心配しないで、
たぶん、こうなるのは決まっていたのよきっと」




またか ー



最近では安での少女漫画でも
使われないのが運命とか決まっていたとか。




最初から決まっていたって、
聞いたらやはりどこかおかしいと感じた。



いや、
これまでの彼女の友達が聞いても、
何処か違う場所にでも行ってしまっているかのような。




紗月の雰囲気が、
ずっと前から
知っているような感じじゃないのが気掛かりだった。




が・・


それが眞知子が聞いた、
彼女の最後の肉声となってしまった・・。


・・




毎日は安堵と平穏とたまの散歩という、
会社にいた時とは真逆の時間が流れていた。




その中でも、
古い洋館は今の紗月の気持ちを象徴しているかのような。





更に毎回、その前を通るたびに ・・




『この素敵な扉が開いてないかな』




などという、
ファンタジーの世界めく欲求にも呆れてしまう。




紗月は小ぶりなエコバッグを持ちながら、
何時も誘い込まれるようなドアを眺めた。




意匠を凝らした木彫りは、
以前に初めて旅したパリでの、
路地裏のひっそりとしたホテルの扉に似ていた。




アール・ヌーヴォー様式と言うのだろうか、
蔦や木の葉が波のような曲線で描かれ、
描かれている模様は深く彫られている。




なかなか見たことが無かったし、
第一、政令指定都市にもなっていないこの街では、
古い洋風建築物なんて、
維持費が掛かるからと倒されていたと思う。




また今日も眺めながら、
故意に何時もの道として選んでいた・・。





「紗月ちゃん、今日も洋館へ行っていたの?」




帰宅した秀一に冷えたビールを出し、
茹でた枝豆を添えると、
開口一番、そんな風に聞かれた。




「そうよ、本当に素敵な家なの」




彼女の口元を見つつ、
彼はでも何だか心配になっている自分を感じた。




実は何度も聞いたそのお屋敷というのを、
気になって見に行った事があった・・。




車で通過しながら、
スマホの地図でも確認したはずなのに、
まさか建物すら無く、
幾度か往復してみたのに、
やはりさら地になった土地があっただけだった。





『・・まさかね、

でも、わざと嘘をついているのかもしれない』





秀一は何時になく嫌な気分に陥っていた・・。


・・





m(u_u)m ここでおねがいいたします☆


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ハートその次元と、この次元は
↓きっとあちらで繋がっている・・




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ある日、紗月はあの屋敷の扉が、
右側だけ開いているのに気が付いた。




『うそ、開いてる』




まさに夢見た光景がそこにあった。




悪いとは思ったけれど、
音を立てずに少しずつ近付いてみた。





その日、空は入道雲が出ていて、
今にも雷が鳴りそうなお天気だった。


とても近くで、
カナカナカナとヒグラシが鳴いていた。




熱を帯びたアスファルトはなおも紗月の体を火照らせ、
半開きになった扉からは、
でも誰も出ては来なかったのだが・・





「すみません、あの・・・」




扉は、ギイ・・


という重たい音を立て、
紗月の前に広く開き始めた・・。




それは一瞬だったような気がした・・・。





「え、暗いわ、



ここはなんて真っ暗なの・・・」



・・




夏の終わりに牧田川に水死体があがった。


その辺では大きな一級河川である・・。




入水自殺だったという・・・




遺体は検死が終わったのちに、
遺体安置所へと安置されていた。





「嫌よ!紗月、何でなの・・」




五十絡みと思われる、
おそらくは彼女の母親であろう女性が泣き叫んでいた。



そこに連絡があった眞知子が駆けつけたのだが。




「・・・紗月、どうして・・・」




白い布がかけられていた彼女は、
ゆっくり布を開けると、
入水と言われても水を大量に飲んだ様子もなく、
少し濡れただけの髪が名残りで、
後は普段と変わらないような姿のままだった。





「眞知子ちゃん、ごめんなさいね

私だけだと心細くて・・・」




確か彼女は母子家庭で、
それは大変な事態になり、
お母さんはさぞかし辛いだろうと・・。




でも、肝心の彼はどうしたのだろうか?


結婚して同居をしていた中谷秀一は・・





「お母さん、
紗月の旦那様は来ていないんですか?」




そう、問いかける眞知子に、
紗月の母親は更にうなだれてしまった。




尋常ではない母親の様子に、
今、改めて眞知子ははっとした。


もしかして、
彼は紗月の旦那さん、では無い?・・





・・それから・・・



紗月の母親から聞いた話は、
彼女が前のような明るさが無くなるのも、
無理のない事だと思ったのだった。




「不倫ですか、あの男性とは・・」




彼、中谷秀一には妻だけでなく、
学生結婚をして子どもまでいたという・・。




「それが判っても、
好きなのには変わらなって言ってね」




どうりでお式も挙げなければ、
浮かれてはいない感じだったのか・・。




・・そう、紗月があの日彼を見つけたのは、


地下鉄の駅にある街・・・




彼女は尾行まがいで、
足早に秀一をつけるのを辞めていなかった。




だが最後に彼を確認したのは、
とあるマンションだった・・。




三階でエレベーターは停止し、
吸い込まれるように入った場所で、
名前の英字フォントの表札を目の当たりにする。




それは彼一人の名前だけでは無かった・・・。





・・としても・・・



それでも彼は二重生活を選び、
紗月は暮して行くうちに、
次第に心病んで行ったのだろうか?・・




眞知子はでも、
不倫が理不尽であっても、
紗月が進んで入水自殺を選んだとは思えなかった。



何故ならつい先日、
彼女から来た残暑見舞いは、

近況や日々のことが
オレンジの向日葵が並んだ
明るい色彩と共に書かれていたから。

・・




その頃 ー



町はずれにある古びた木造の家。
そこにいた一人の女性が、
持ち主である老婆に謝礼を手渡した。




「どうやら上手く運んだようだな」




「ありがとうございました

これで夫はどうにか元に戻りそうです」




「ではこれはもう要らないね」




老婆は今では珍しい存在となった祈祷師。




テーブルにある水槽には、
紙で出来たヒトガタのようなモノが沈めてあり、
そのヒトガタには「紗月」と書かれていた・・。




まさか、昔のように、
白装束で護摩焚きなどはしていないけれど、

呪術では確かな手腕だと聞き、
藁をも掴む思いで、
その彼女は知人から紹介をされた・・。




そして謝礼の素っ気ない封筒には、
「中谷 美沙緒」と書かれてあった。




・・その女性は秀一の妻だった・・・




『・・あなたたちが悪いのよ


私だけが悪いんじゃない


二人して家まで買っていたなんて・・・』


・・




その日、空は低く雲が垂れ込めていた。




眞知子は紗月の母親と二人切りで、
彼女を荼毘に付すため、
郊外にある火葬場へと来ていた・・。




今は綺麗な施設と変わったその場所も、
泣きながら通過する家族や、
自分たちのようにひっそりとした人たちもいて。




「一時間ほど控室でお待ち下さい
後ほどご連絡しますので」




あまり煙りも出ないような近代的な場所は、
何だか薄ら寒い感じがしたのだが。




眞知子はでも、
どうしても気になっていた事があった。




あの、紗月が言っていた、
扉のある素敵な洋館のお屋敷という所。
いくら調べてもただのさら地だったからだ。




でも、少し前、
気になって市の古地図を見せてもらったのだが。





「え・・・・」




その時・・・


悪寒のような感覚が眞知子の体を走った。





『鴉 山 処 刑 場』




そこには、江戸時代以前から、


どうやらそんな場所があったらしい・・・。


・・






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・・・今季はこれにて・・・

。。







ハートどこかでボタンの掛け違いをしてしまう
↓それが怨念の始まりだったり・・




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(゜▽゜*)時系列がやや分かりにくい箇所が。

フィーリングで読んでおいて下され。


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