
そのお客様は猫を家族にしていた。
写真を見せてもらうと、
その子はグレイに際だつ縞模様の、
アメリカンショートヘアで穏やかな顔つきだった。


とても彼女に大切にされているのも分かる感じ。
「友達の親戚がブリーダーで、
そこから迎えたんですが
ストレスばかりだった生活が、
ダイスケが来てくれたことで少し変わりました」
以前は確かに疲れが溜まり、
行き場も無かったKさんだったけれど、

本当に猫から癒しをもらっていた様子だった。
が。。
よくある話だけれど、
全ての家族が猫が好きとも限らない場合がある。
その方をKさんとすると、
彼女のお父さんは猫、
いや、小さい頃に動物を飼った事がなく、
あまり犬や猫は好きでは無かったそう。

追い払ったり虐待なんてことはな無く、
近寄って来るとお父さんが逃げていたくらい。
Kさんと弟さんの二人姉弟だったけれど、
仕事で帰宅が遅くなれば、
お母さんと弟さんが猫のダイスケをみていてくれた。
が、ある寒い真冬の日


お父さんがたまたま休日で、
しかもKさんのお母さんも弟さんも、
パートと通学で居なかった。
お父さんは喫煙は猫だって嫌だろうと思い、
リビングにいたダイスケを、
隣のダイニングキッチンへ行くよううながし、
そのままタバコを吸っていたらしい。
換気をしてしばらくしてから、
キッチンを見に行ったら・・

( ̄▽ ̄;)え・・・・・
ダイスケが居ない!
びっくりしたけれど一大事・・。
よくよく見たらキッチンの扉を猫のために、
小さい通路が付いたものに変えていた、

どうやらそこから外に出たようだという事を知る。
更に慌てふためいたまま、
お母さんに連絡をして、
もうすぐ帰宅する時間だからと言われ、
待つことにしたけれど ・・
まず、それまで、
庭を中心にダイスケを探した。
庭や近所付近を探してみたけれど、
猫が苦手な人が探してみても、

猫はとっさに逃げてしまう習性があるし、
お父さんは家に戻ったそうだった。

お母さんが帰宅し、
大学から弟さんが帰り、
仕事が終わり次第帰宅したKさんが揃った。
最初にお母さんと弟が、
暗くなる前に必死に庭や近所、
にゃんこが居るお宅に訳を話して探したり ・・
出来る限り探したけれど、
探すにも猫の特性を考えれば、
限界があるために戻るしかなかった。
「こんな

彼女は自分をなだめていたけれど、
次の日から居ない現実があって、
何日も涙が止まらなくなり、
それから何日も、
父親とはまともに会話をしていなかったらしい。
「・・ダイスケくんが、
見つからなかったのは分かりますが、
Kさんは大丈夫でしょうか?
自分でも文鳥で同じような事を
私の不注意のために
逃がしてしまった事があって」
「前よりは・・・

最初に〇さんから、
ペットロスでも話を聞いて下さる
クリニックをお聞きして行ってみて
とても良い先生だったのですが
やはりペットロスは病気では無いため、
軽い安定剤だけをもらって、
不安定になり過ぎる際に飲んでいました」

「他の方も言っていました
ペットロスは病気では無いということを
だけれど、
気持ちが落ち込んで行くだけだし、
うつ病に近いような感じになりますよね」
少し良くなってから、

「猫専門に探す業者はこの辺には無くて
だから、
本当は諦めたく無かったのですが
私よりも父の落胆が酷くなってしまって」
「お父さんの方がですか ・・・」

逃げた猫専門に探す業者さんがいて。
でもそれは東京とかもっと大都会にあるようで。
酷く落ち込んだKさんだったが、
お父さんはお母さんも大変だからと、
小さな頃から子育ても手伝っていた。
優しいからお父さん子だった彼女、
家族仲が良かったために、
父親が苦手にも関わらず猫を迎えてくれた訳だし。
彼がキッチンのミニドアをチェックし忘れたのは、
ダイスケが居なくなった発端だったから、

誰がどうと言う事では無く、
もともと閉めていなかったのも悪かったし。
ワザと開けたのでは無いし、
直接のペットロスでは無いにせよ、
責任を感じてしまったままで、
自分と同じように気落ちして行く父が、

「そういう事って、
悪意が無かったのでお互いに辛いですよね
お父さんは今は大丈夫ですか?」
「不眠がちだったから、
父を同じクリニックに連れて行って
軽い睡眠誘導剤だけいただいて
今は前よりは良くなっています」

失えば戻らないように、
品物と比べるのは大変ナンセンスだけれど、
ダイスケくんも、
私のブーヤも同じ存在はその子しかいない。
(※文鳥は次の日に無事見つかりましたが)
Twitterで迷いインコが飛んで来て、
庭や公園に居たり、
近場ならばそれを拡散し、
運良く見つかったケースもあるけれど。


きちんプロに羽切りを依頼したり、
放鳥する際には細心の注意をしなくては、
飛んで行く可能性は否定出来ません。
あらゆる家族としての動物も、
人間が管理して迎えているなら、
不意に何かアクシデントがあるかもしれないため、
注意をしなくてはいけないのだと感じます。

もし戻らない場合に、
Kさん一家のように、
失った子がいかに自分に、
その慣れ親しんだ家に、
なくてはならない存在だったかを、
痛いほど思い知らされてしまうものです。
メンタルがしんどい場合には、
ちゃんと
ペットロスも理解出来るクリニックを調べてからに。
Kさんが言っていた ・・
「どなたか猫が好きな家なら
飼っていただいているなら良いのですが」
せめてそう願っていたいのも、
生き物を家族にしていた人なら、
同じ事を思わずにいられない・・・。
病気だってあるし、
いつ何が起きるのか分からないのは、
私たち人間と同じ・・
しかも家の子になってから、
要らなくなったら放棄なんてとんでもない。
家族としてずっと暮らして行きたいのなら、
日頃から皆さんなりに配慮をして、


・・
すみませんワタシは占い師
・・・アクシデントは続かないで・・・
。。


↓そんな子たちは自力ではないし・・
